【コラム】6月21日日経新聞に掲載された、【AI時代に企業が生き残る鍵は「暗黙知の形式知化」にある―ナデラ氏の『トークン資本経営』に寄せて】
暗黙知の研究者である私は、6月21日、日経新聞に掲載されたマイクロソフトのサティア・ナデラCEOの経営論に、強く共感しました。
彼が提唱する新しい概念は、AI活用に関する「トークン資本」というものです。
今、多くの企業が「どのAIツールを導入するか」「AIでいかに自動化するか」に終始しています。しかし、ナデラ氏は「単に高性能なAIモデルを使うだけでは、企業の競争力にはつながらない」と言及しています。
では、何が格差を生むのか?
これこそが、自社固有の業務の進め方や、現場のベテランが持つ「専門性のある暗黙知」をAIに組み込めるかに他なりません。
これは、私が提唱し研究を続けている「暗黙知の形式知化とAIのマージ(融合)」そのものです。
高性能なAIは、お金を払えばどこの会社でも使えます。
つまり、そこでは差がつきません。
※本当の競争優位は、自社の中に眠る「言葉にできない熟練の知恵や判断基準(暗黙知)」を「形式知化」「言語化」し、それをAI(エージェント)に学習させて初めて生まれるものです。
人間が独自のロジックや意思決定を担い、AIがそのデータを増幅・分析する。この「Human-in-the-Loop」の好循環をつくることこそが、人とAIが「複利」で学び合い、組織全体が進化していく。まさに、ナデラ氏の言う「トークン資本経営」の本質だと感じます。
これからの時代、人材をコストではなく「人的資本」と捉えるのと同様に、形式知化・言語化された自社固有のAIを「トークン資本」としてバランスシートに載せる時代がやってくるかもしれませんね!
AIを最大限に活用するためには、技術の進化に振り回されるのではなく、まずは足元にある「自社の知恵(暗黙知)」という最大の資産に目を向けることが重要です。
皆様の組織には、AIに引き継ぐべきどのような「素晴らしい暗黙知」が眠っていますか?
2026年6月16日付け日本経済新聞電子版(会員限定記事です)
Microsoftが「トークン資本経営」提唱 AI有効活用、人材にも相乗効果
